のれんの歴史というのはかれこれ800年以上の歴史があるといわれ、
歴史上の貴重な文献で初めて登場したのは平安時代末期のことになります。
1135年から40年頃の作品といわれる「信貴山縁起絵巻」に登場し、
今でも巷でよく見かける三垂れの半暖簾を庶民が使用している様子が描かれています。
今回取り上げる珠暖簾は意外と歴史が浅く、昭和初期に誕生した
のれんであるといわれています。
木で作られたたくさんの玉をぶら下げた暖簾は、小さい玉から大きい玉まで
様々な木製の玉を使って模様を細かく表現することができます。
その起源と言われているのが、兵庫県小野市にて算盤を
製作していたことから広まったとされているのです。
昔ながらの珠暖簾は着色されておらず、木の自然な色を使った物が
多かったのですが、最近では人工的に着色されたカラフルでお洒落な珠暖簾が
巷に多く出回るようになりました。
長さを短くしたり、真ん中だけアーチ状にすることで、人が出入り
しやすいようにしたりと、オーダー次第で自由自在にデザインすることが
出来るのが特徴です。
珠暖簾は、夏場に風が吹くとジャラジャラと木と木が触れ合う音を
鳴らすことから、夏の風物詩として知られているのです。
珠暖簾のアレンジ例
珠暖簾は、昔ながらのものは木製の自然の木の色を使ったものが
一般的でしたが、最近では様々なアレンジが加えられて多様化しています。
最近では、着色したものや絵や柄を表現しているものも多いです。
また、プラスチック製の安価な珠暖簾が登場し、雑貨屋などで
お手頃価格で購入することが出来ることから、中高生の間でも人気が高いです。
ビーズを使った珠暖簾は、光の当たり具合によってキラキラと
反射することから、若い女性たちに人気があります。
値段も1000円以内で購入することが出来るものが、雑貨屋や
ファンシーショップなどで販売されており、手軽に購入することが
出来るようになりました。
京都の老舗料理店では、乾燥させたひょうたんを使用した
珍しいのれんが置いてあると有名です。
こういった少し違ったアレンジの効いた暖簾が欲しい場合には、
専門店などでオーダーすることでオリジナルの珠暖簾を
購入することが出来る様になっています。
時代がかわっても暖簾に対する需要は一向になくなりません。
日本の狭い空間を仕切る役割として広く用いられていたり、
また、装飾品としての役割を果たしていることから、
珠暖簾などに代表される暖簾は、日本人の生活と密接に結びついています。