終始緊張に包まれる楽屋もあれば、和やかな雰囲気のまま進行していく一つの共同体もあります。
区切りとなる初舞台の演技に求められるのは、統制がとれたチームワークというよりも、
充実した時間を過ごすことができる環境にあるでしょう。
肉体的にも精神的にも稽古の際には追い詰められる場面が多く存在し、
片時も目を離すことができない演技を見せてくれるのが舞台俳優達です。
暖簾に隠された気持ちは、一つにはスポーツのように
ルールに乗っ取った競技をする訳ではないということです。
窮屈に思われるかもしれませんが、大体の楽屋は広くて多くの俳優が集まる場所なので、
期待感や各々のジンクスを持った人たちが集まっています。
落ち着いた状態で台本に目を通す人がいれば、ハキハキと発声の練習や
ウォーミングアップに励む人がいるでしょう。
若者やベテランなど多岐に及ぶメンバーが一つの演目に向かい合い、
監督が指揮する構図がまとまって存在している楽屋の面白さに加えて
暖簾による願掛けで気合いを入れたり景気を良くする目的に応じた、
一人一人のエッセンスを嗅ぎとることが大切です。
楽屋からの笑い声や明るい話し声は必ず本番に役立ちます。
舞台で羽ばたく姿を想像できるお祝い
ケータリングや花を一種のお祝いとして主宰する興行団体に贈るにしても、
楽屋は特殊なエネルギーに包まれていて経験した人にしかわからない環境です。
レベルにしても、放つオーラは芸術家といって差し支えない
一芸に秀でた集団をまとめることは難しいです。
観客目線や本職の立場などあらゆる角度から見ても、時間を圧縮した瞬間に
奮起する若者が、我が物顔で歩き回るようなキリキリとした空間ではないと考えられます。
中途半端な応援が難しいと感じて、楽屋へ何かしらの元気を与えたいと思っていても、
恥ずかしかったり間違った選択をしそうで二の足を踏むことになります。
律儀に楽屋挨拶へ行くのも良いですが、暖簾は伝統的にも舞台の歴史においても
意味のあるもので、喜ばれるものとして受けとる側も感じられるでしょう。
どちらにしても、長い間日本の中心地として舞台が担ってきた重責は
評価すべきですし、改めて取り上げられるような新規性も兼ね備えているところが
幅広い世代に指示される理由です。
伝統という言葉を使うと古いイメージでマイナスの印象を持つ人もいるかもしれませんが、
暖簾は単なる昔からの慣習というだけでなく、広い意味での集団を団結させる
儀式のように捉えるとわかりやすいかもしれません。
人々は素晴らしい才能を見にわざわざ劇場に足を運び、最高の日を迎えます。